【最新・第47回】広報してくれないところもあるの?──就学援助⑥|保護者の疑問にヤナギサワ事務主査が答えます。

★教師の自腹(特設ページ)

画像(東洋館出版社提供):『教師の自腹』Amazonページより(www.amazon.co.jp/dp/4491054460)

★書評

日本教育新聞(2024年9月16日)元兼 正治 先生

★本書の概要

教職員自らによる経済的負担の存在は、関係者間では周知の事実であった。「自腹」には様々な経緯や背景が存在する。本書では全国の公立小・中学校に勤める1,034人の教職員に対し大規模調査を実施。集まった声をもとに、私費に頼らない公立学校の実現を模索する。

★教育分野で活躍する皆様からコメントをお寄せいただきました


画像(東洋館出版社提供):『教師の自腹』Amazonページより(www.amazon.co.jp/dp/4491054460)

天野ひかりさん
フリーアナウンサー/『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』著者

「『子どもは、みんなで育てるもの』という認識が広がるといいなと思いました。 教師の自腹による教育の場が、子どもにとって最良なのか考えさせられました。
個人の裁量による自腹や保護者の負担によって教育の質が変わるのではなく、 子どもたち誰もが主体的な学びができるように、 必要経費が可視化され、審議され、予算化されることを願っています。」

村久美さん
NPO法人カタリバ代表理事

「ご褒美シール・修学旅行の下見費用・給食費の立て替えにいたるまで、学校の日常の風景の多くが 先生たちの自腹によって成り立っていることに驚愕した。
でも、みんなどこかで気づいていたはず。日本社会は、先生たちの意欲と善意に頼ってきたんだ。 教員採用倍率が激減した今、教師の労働時間問題に続き、日本社会が本気で取り組まなければならないテーマがここにある。」

内田良さん
名古屋大学教授

「学校は『善意』でまわっている。 ペンから図鑑、水槽の濾過器、楽器まで、あらゆる場面で教師の自己負担が生じている。
現場の声と調査の数値、最強の組み合わせが公教育の課題を浮き彫りにする!」

妹尾昌俊さん
教育研究家、一般社団法人ライフ&ワーク代表理事

「仕事で出張に行っているのに旅費が出ない、なんてことは民間では考えられない。
行政が先生たちの善意に頼ってきたものには、時間(長時間勤務)だけではなく、お金でもあった。 自腹は『当たり前』『やむを得ない』にしてはいけない。先生たちの意識の問題でもない。 制度と私たちが無関心でいた問題であることを突き付けられた。」

松尾英明さん
公立小学校教員/『不親切教師のススメ』著者

「教師の自腹問題の本質は、実はお金ではない。
その根本には『教師なのだから子どもに関する全てを担わないといけない』という、『親切』に依存した社会的誤認が潜んでいる。
本書は、これからの社会において教師という職業をどう位置付けるべきか、その在り方自体を問いかけてくる。」

蓑手章吾さん
オルタナティブスクールHILLOCK初等部スクールディレクター/元 公立小学校教員

「子どもたちと共に生活する担任教師こそ、今日の最適な教材を準備できる価値ある役割なのだ。そんな専門性という名の誇りを『不要』の二文字で切り捨てられる無力感。
これは金額の問題ではない。やり甲斐搾取の問題なのだ。」

森万喜子さん
元 北海道公立中学校校長/2023年『Forbes JAPAN』「イノベーティブ・エデュケーション30」選出

「よくぞ世に出してくれました。
『勤務時間短縮』と『業務改善』で語られることの多かった『学校の働き方改革』だが、 この『教師の自腹』は、今まで語られることも問題視されることも少なく、しかし確実に存在する。学校の働き方改革の3つめのイシューは自腹を看過しているしくみにある。」


画像(東洋館出版社提供):『教師の自腹』Amazonページより(www.amazon.co.jp/dp/4491054460)

★本書からわかること

授業の教材費、部活動の審判資格取得費用、家庭訪問の交通費、徴収金未納の立替……うやむやになってきた教職員の自己負担

採点用の文房具、授業のための教材、部活動の審判資格取得費用、大会への交通費、家庭訪問時のガソリン代、各家庭の徴収金未納の立て替え、物品破損の弁償――。教職員が仕事をする上で、必要なものを私費で負担する「自腹」。それは、人や学校により差はあるものの、金額の大小や費目・場面を問わず、これまでも確実に存在し、関係者間では周知の事実でした。
「自腹発生」の背景には、法制度上のマクロな理由に加え、「教育は生もの」という、常に柔軟さが必要とされる学校という場ならではの性質、もしくは各教職員側の意識や各学校の風土などのミクロな理由も複雑に絡み合っています。
本書は、その現状をありのままに映し出し、共有し、教職員が働きやすい公立学校を展望することを目的としています。


画像(東洋館出版社提供):『教師の自腹』Amazonページより(www.amazon.co.jp/dp/4491054460)

積極的自腹、消極的自腹、強迫的自腹。大規模調査でみえてきた枠組みと特徴

「未踏の地」であった自腹という現象に踏み込むため、「教職員の自己負担額に関する調査(2022年度間)」を実施。全国の公立小・中学校に勤務する、現在の職についてから2年目以降の教職員計1,034人に対し、下記のカテゴリについて2022年度に自己負担した名目や金額、その経緯、また、これまでの教職員人生における支出総額などを調査しました。

【調査対象】

  • 校長、教頭、副校長、主幹教諭、指導教諭
  • 教諭(正規雇用)、教諭(非正規雇用)
  • 事務職員

【カテゴリ】

  • 授業
  • 部活動
  • 旅費
  • 弁償・代償
  • その他

その調査結果をもとに、10人いれば10人それぞれ、10回あれば10回それぞれの経緯や背景が存在する自腹を、「積極的」「消極的」「強迫的」という三つの分析枠組みで整理しながら、発生率・頻度の関係に加え、自腹への意識などについて分析します。また、属性別の傾向や学校の特徴との相関などについて、考察を行います。

画像(東洋館出版社提供):『教師の自腹』Amazonページより(www.amazon.co.jp/dp/4491054460)

私費に頼らない公立学校をめざして

「教師の自腹」を考える上で必要不可欠なのが、学校財務上の構造についての理解です。そして、自腹から解放されていくには、本書をきっかけに行政や政治の責任を問うとともに、各学校においては、教育活動の特質を踏まえた「学校財務マネジメント」の確立も必要になります。そこで本書では、学校財務制度の改善案や教育行政との連携の方法、学校財務マネジメントの確立方法などを提案することで、多角的な視点で自腹からの根本的解放を模索していきます。

本書は、私費にたよらない真の意味での「公」立学校の実現のため、調査で集まった声をどう受け止め、どう言語化し、どのように制度や実践につなげていくかというチャレンジです。全国の公立小・中学校教職員の1,034人の声、その一つひとつに、耳を傾けてみてください。

画像(東洋館出版社提供):『教師の自腹』Amazonページより(www.amazon.co.jp/dp/4491054460)
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