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【コラム】文科省・学校給食調査の最速分析|福嶋 尚子

文科省・学校給食調査の最速分析

 2024年6月12日、文部科学省による「学校給食実施状況調査(令和5年5月1日現在)」「学校給食実施状況等に係る追補調査(令和5年5月1日現在)」「学校給食費の無償化を実施する各教育委員会における取組の実態調査について(令和5年9月1日現在)」の各結果が公表された。

 この3つの調査結果から見えてくる、子どもの〈食の権利〉を保障するために政府が果たすべき役割について提起したい。

1.給食費無償のための負担金・補助金を設けること

 給食費の完全無償(公立小中学生全員無償)に乗り出しているのは全国1794中547(30.5%)、一部無償に乗り出しているのは175(9.8%)で、合わせて722(40.2%)が2023年9月時点で給食費無償を実施していた。その財源で最も多いのは自己財源で475(無償実施自治体中65.8%。ただし複数選択)で、2022年9月時点では多くが地方創生臨時交付金を77.3%が活用していたことと比べると、多くの自治体が工夫をして給食費無償のための予算を捻出していることがわかる。

 他方で、2023年度末で無償を取りやめるところも82(無償実施自治体中11.4%)に及んでいることも踏まえると、こうした予算の捻出を継続していくことは簡単ではないことがわかる。未だ無償に踏み出せない自治体の方が大部分を占めており、自治体に10割負担をさせる構造では無償を全国に広げることは不可能だ。

 政府が担うべき役割の第一は、給食費無償のための負担金・補助金を設けることである。

2.完全給食の未提供に対し、提供の義務付けとそのための財政的保障を行うこと

 今回、完全給食が未提供の学校が公立小学校で84校、公立中学校で264校あることがわかった(ただしこの中には、補食給食提供、牛乳のみ提供など抵触状況にバリエーションがある)。この状況が許容されているのは、学校給食法4条において、学校設置者の完全給食提供を努力義務にとどめていることである。まずはこの学校給食法4条の不備を認め、学校設置者の完全給食提供を義務とすべきである。

【図】給食提供状況一覧 ※上段が学校数、(下段)が児童生徒数

 完全給食 提供補食給食 提供ミルク給食 提供給食 未提供完全給食 未提供合計
公立小学校18,444 (5,940,855)21 (1,904)18 (898)45 (3,050)84 (5,852)
公立中学校8,743 (2,841,298)19 (3,508)104 (34,683)141 (62,986)264 (101,177)

 また、未提供となっている理由では、学校以外で昼食が提供されているというところが多い(小学校で42校、中学校で60校)。これについては、学校給食ではないもののきちんと子どもの〈食の権利〉が保障されているものとして、自治体に対しては給食提供義務の免除という扱いでよいと思われる(無償実施時には、該当する昼食費用を無償にすべきである)。

 他方で、施設設備の問題(小20校、中55校)、地理的問題(小10校、中6校)・財政的問題(小9校、中48校)を理由に給食が未提供になっているところもある。施設設備や財政的問題については完全給食スタートアップのための補助金を政府が準備し、完全給食の提供を後押しする他ないだろう。地理的問題については個別的な事情を把握し、先行事例を参照することで、その自治体で障害となっている地理的問題をクリアすることも可能となるのではないだろうか。

3.完全給食を喫食できていない子についても、昼食の経済的保障を行うこと

 今回の調査では、完全給食を提供している学校でも、不登校の子やアレルギーをもっている子がおり、加えて、中学校を中心に一部地域で広く展開している選択制給食により、完全給食を喫食できていない子どももかなり広範に広がっていることも明らかとなった。その数にして、小学校では22,161人、中学校では250,202人である

 当然のことであるが、不登校の子も、アレルギーのある子も、選択制給食で完全給食を選択していない子も、昼食を食べる必要はある。この子らは一見自ら完全給食を食べないことを選択しているように見えるが、既存の仕組みがそうした子どもたちに対応できていないことが原因で、完全給食から排除されていると見るべきである

 こうした子らが給食費無償を導入する場合の「障害」となるという見方もあるが、それはあまりにこうした子らに対して冷たい見方といわざるを得ない。現物給付での給食費無償をできる限り模索しつつ、現物給付が難しい場合は昼食費の経済的保障(すなわち現金給付)に代える形で給食費無償を実現していくことは可能である

 たとえば、本来給食の喫食を望んでいるが、給食がアレルギーに非対応であるが故に喫食ができていない子には、できる限りのアレルギー対応を行うべきであるし、その対応が困難を極める場合にも、給食を喫食している子と同程度の経済的保障を行う。選択制給食を全員が喫食できるような全員制給食に替えるのが難しい場合も、弥縫策としては昼食代の現金給付を一時的にでもとることは可能であろう。不登校の子も、その子の事情により学校のどこかで喫食できる子もいれば、家庭から出ることが難しい子もいる。現物給付が可能な子にはそうするが、難しい子には現金給付とすればよい。

 ただし、完全給食を喫食できていない子の無償分も予算を確保できたとして、現物給付の他に現金給付が入り混じれば、その給付事務を担当する職員は手続きが煩雑になる可能性は否めない。だからこそ、選択制給食を全員制給食に移行していくことはこの事務負担の軽減につながることは強調しておきたい

 災害の多い日本において、全員制給食を実施できるだけの給食設備が整備されていることは、平時には子どもの〈食の権利〉保障のためであるが、非常時には地域の人びとの〈食の権利〉保障につながる可能性がある。給食費無償と合わせて、給食の提供についても政府の役割は大きいはずだ

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コメント

  1. 福谷朋子 より:

    卵、乳以外のアレルギー対応をするには人員が足りません。低賃金、非正規雇用による調理員の待遇改善も併せて要望していく必要を感じます。

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