|第21回|保護者の疑問にヤナギサワ事務主査が答えます。が更新されました!(2022.09.08)

青森市、学校給食費無償へ【後編】──給食費をめぐる制度を分かつもの

 嬉しいニュースが飛び込んできた。青森市で小・中学校における給食費無償が10月から開始とのこと。実現すれば、全国の中核市で初の取組となる。

 私は昨年10月に、学校給食の無料化を目指す青森市民の会より講演を依頼を受け、オンラインで90分ほどの話をした。給食費無償という具体的かつピンポイントなテーマ、そしてそれを目指す市民団体からの初めての依頼であったため、「子どもにとっての衣・食・住」をサブテーマとして、学校事務職員向けだった講演内容を市民団体向けに大幅にバージョンアップして臨んだことを思い出す。その私の話はさておき、こうした運動を展開している市民運動の力を感じ、「隠れ教育費を本当に何とかしたいなら、私も運動する研究者でいないといけない」と改めて思ったところだ。

 コロナ禍を機に、給食費の扱いについて自治体間の差が広がっていることを指摘したことがある(「『隠れ教育費』からの問題提起(4)給食費」教育新聞、2022年7月10日)。実際に、鳫咲子教授が「自治体単位の取り組みが全体の動きにならず、地域ごとに格差が生じてしまうのが現状」と指摘している通り、コロナ禍以前から、学校給食法上で保護者負担が明記されている食材料等の経費負担の在り方については、その保護者負担が基本でありつつも、自治体によっては公会計化、一部無償化、完全無償化が進んでおり、格差があったのである。

 そこに、コロナ禍を機に、学校一斉休業に伴う給食中止、給食中止に伴う就学援助制度における給食費の支給、登校開始に伴う簡易給食の実施などについて各自治体は、その可否・要否について判断を迫られた。

 さらに、円安・物価高が日本社会を襲った。それに伴う食材料費・光熱水費・ガソリン代等の高騰のため、今度は一食あたりの給食費の値上げを検討せざるを得ず、その値上げ分について保護者負担額を引き上げるか、それとも値上げ分だけでも自治体が助成するかという政策的判断に迫られた。たとえば、静岡県内では、6月議会にて県の他、15市町が値上げ分について自治体負担の補正予算を組み、9月議会でもさらに多くの市町が自治体負担を検討しているという。

 値上げ分の補助についてさえも判断が分かれる中、給食費の無償化については一層慎重な判断をしているところも多いだろう。一度、給食費無償を導入したのちに有償に戻せば、関係者の不満や負担感は著しく大きくなってしまう。

 先述の「教育新聞」の連載において、自治体の判断を左右するものとして、筆者は以下のように説明をした。

 給食費に関わる制度に影響を与えているのは、自治体の財政力以上に「子どもの食の権利を保障する」という理念を当該自治体がもっているか否かだ。費用負担を負う家庭、徴収を担う教職員、食材調達・調理・配送を担う現場に給食供給の負担を押し付ける自治体では、給食の安定供給は望めない。給食費用を公会計化、そして無償化し、安定供給を進めることができるのは自治体、そして国だけだ。

 

 「子どもの食の権利を保障するという理念を市民と自治体が共有するために、改めて市民・市議・そして首長のはたらきが重要だ。

(チーフアナリスト 福嶋 尚子)

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