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「学校徴収金等取扱マニュアル(試行版)」(高松市教育委員会)を読んで──【前編】 

 コラム|「公費と私費の区分を明確化 高松市教委がマニュアル」の経緯の続編です。まだ読んでない方は、そちらも一緒に読んでみてください。

■「学校徴収金等取扱マニュアル(試行版)(高松市教育委員会)を読んで──【前編】

 香川県高松市が制定した「学校徴収金等取扱マニュアル(試行版)」を読んでみた。

 この資料は、2022(令和4)年1月27日(木)「高松市教育委員会1月定例会」の議案として公開されているので、ぜひも確認してほしい。その構成は、策定の趣旨から始まりマニュアルの基本的なスタンス、学校徴収金事務の流れ、PTA会計などの団体会計のこと、そして末尾に参考様式と資料が盛り込まれた全17ページのマニュアルである。

 教育委員会事務局がマニュアルの策定を提案した理由はふたつあることがわかる。第一に「公費・私費の負担区分があいまい」、第二に「学校徴収金の管理・取扱等に関する統一的なルールがない」ということである。

 学校徴収金とは、高松市教育委員会の定義によれば「児童生徒が学校生活を送る上で、保護者が受益者負担の考え方に基づき、必要な実費を負担する」私費のこと。具体的には「児童生徒個人の所有となるもの(学校、家庭いずれにおいても使用できるもの・児童生徒個人が教材教具として使用するもの)や、教育活動の結果として、その教材教具そのもの、又はそこから生じる利益が児童生徒に還元されるものに係る経費」=「私費を求める経費」と整理している。

 そして、「教職員の人件費、教科用図書、光熱水費・消耗品費・備品購入費・工事・修繕費等の学校運営及び施設管理関係費、個人所有とならない教材費など」=「公費負担とすべき経費」として、公費と私費の負担区分を明確化した。

 しかし、高松市の場合はさらに「PTA等から支援を受けることが可能な経費」という第3の区分を盛り込んでいる。その説明として、「より良い教育環境を望むPTA等の考えにより、学校教育の充実・発展のために善意・自発的な申し出がある場合」で法令に違反しない限りにおいて支援を受けることができる経費とされている(p.3)。この部分は、【後編】で検討しよう。

 次ページからは、経費3区分の具体例が表にまとめられている(pp.4-5)。たとえば、光熱水費や教職員の人件費は当然〈公費〉である(p.4)。そして、当サイトのコラム【「公費と私費の区分を明確化 高松市教委がマニュアル」の経緯】で紹介した「受益者負担主義を容認したとしても『用紙印刷代』の徴収はそれを逸脱している」(市長への提言)に対する「改善」がわかりやすく確認できないことは残念である。おそらく、「教育活動に係る経費:授業・指導に係る経費」の部分で「授業において教科・実習の指導に必要なもの」は、〈公費〉とされているため「用紙印刷代」も含まれているのだろう。

 提言を受けたもうひとつの課題、「理科実験費などの『大づかみ的事前徴収金』(筆者注:問題集代500円という徴収方法ではなく、年間実験費500円とされその内容が不明な状態で徴収する方法)も気になる」に対する部分もややあいまいである。「実験実習費」という経費が〈公費〉にも〈私費〉にも書かれている。前者は「個人所有とならない」もの、後者は「個人が教材教具として使用する」ものの違いである。こちらも「改善」されていくと期待するなら、「大づかみ的事前徴収金」はなくなり、個人に還元される=ひとり1個(台・冊)が、明確にわかるような徴収方法となるだろう(資料集やソーラーカーなど)。

 市民の声に対して、一定の「改善」が図られたという評価ができないわけでもない。──後編に続く……

(栁澤靖明)

◼️ 引用参考文献

・高松市ウェブサイト「令和4年 高松市教育委員会1月定例会の開催結果について」(最終アクセス 2022.02.14)

https://www.city.takamatsu.kagawa.jp/udopen/press/attach/1/2022-00098_0_0401teireikaikaisaikekka_s.pdf

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