こちらのコラムは「〈ランドセル文化〉をゆるくする」の後編となります。
*前編をまだ読んでいない方は、下記のリンクよりご参照ください。
〈ランドセル文化〉をゆるくする取組
そもそもの原点に立ち返ると、ランドセルを買うこと、背負うことは、多くの場合ルールとして決まっているのではなく、子どもと家庭に選択権がある事柄だ。つまり、ルールではなく〈文化としてのランドセル〉なのだ。しかし、前編で見てきたように、ランドセルには良い点もあるが、困った点もある。子どもや家庭が自由に選べるようにすることが大事で、そのために教育行政や学校は何ができるのだろうか。
ランドセルの価格面だけに着目すると、ここで、ランドセルの購入補助や無償配布、レンタルサービスの実施などが出てくるし、実際にそれを行っている自治体もある。ただし、これだと実は価格面だけの解決であって、むしろその他の面では子どもや家庭の選択権を奪いかねないことは気を付けておく必要がある。
子ども・家庭の選択権を前提としながら、それを実質化していくことが望まれる。ここで注目すべきは、東京都足立区における取組だ。足立区教育委員会は、今年1月20日、管内の小・中学校に対して、「児童・生徒の通学鞄及び携行品に係る配慮について」を発出し、通学時に軽いかばんを使用可能であること、「置き勉」の促進について通知をした。
これはこれまでのルールに何の変更も加えるものではないが、教育委員会として公に通知したことで、学校は「必ずランドセル」を前提にすべきではないことが共通認識となる。保護者にも子どもの体格や体調、習慣などに合わせてかばんを選べることが広く伝えるという重要な意義があると考える。
現状ランドセル以外での通学を個別にでも認めている学校でも、同様のお知らせを子どもや家庭に対して行うこと、また、入学予定の子ども・家庭に伝えるためにホームページなどを通じて同じ内容をお知らせすることは、予算もかからず、これまでの指導方針とかわらないため、すぐにでもできるはずだ。
ラン活は入学の1年前から始まってしまう。今からでも、再来年の入学生に向けて、「ランドセルでなくても大丈夫」と発信してほしい。これは、予算もいらず、これまで通りの指導方針なので、すぐにでも取り組めるはずだ。
こうして、〈ランドセル文化〉をゆるくするための取組を、学校から始めて広げていきたい。
(チーフアナリスト 福嶋 尚子)
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児童・生徒の通学鞄及び携行品に係る配慮について|足立区 (city.adachi.tokyo.jp)
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