【最新・第38回】給食費は保護者負担って決まってるんじゃないの?|保護者の疑問にヤナギサワ事務主査が答えます。

【コラム】学校図書費が「隠れ教育費」化するのはなぜ|福嶋 尚子

 学校図書館が唯一といってもよいほど心穏やかに過ごせる場所だった私にとって、悲しいニュースを目にした。熊本日日新聞の「『必要な本が買えません』熊本市の学校図書購入予算、政令市で最下位」(2022年11月4日)によれば、全国20の政令指定都市の中で熊本市の1校当たりの図書購入予算が最低額だったという。残念ながらすでにそのニュースは見られなくなっていたが、先日、熊本市が来年度の予算を1.6倍にするとのニュース(「熊本市の学校図書費1.6倍に 新年度予算8年ぶり増額 (msn.com)」)を目にして少し安堵した。そこで、改めて全国の調査結果を参照してみよう。

 全国学校図書館協議会の「2022年度学校図書館整備施策に関するアンケート結果」(2022年6月。1741の市区町村教育委員会に対する悉皆調査で631の教育委員会が回答)によれば、2022年度予算における小学校一校当たりの平均図書費は468,785円、中学校では619,538円だったそうだ。しかし、自治体による格差は激しく、例えば筆者の住んでいる千葉県では、小学校では鎌ヶ谷市(1,061,889円)、野田市(805,750円)、酒々井町(800,000円)の順に高く、中学校では鎌ヶ谷市(1,395,000円)、野田市(986,091円)の2市は順位が変わらないが、3位が船橋市(962,704円)となる。逆に予算が乏しい自治体を見ると、大網白里町(小学校30,714円、中学校89,000円)、山武市(小86,455円、中133,500円)、館山市(小131,400円、中186,667円)となっている。ぜひ住んでいる自治体はどうなっているか、参照してみてほしい。

 なぜこのようなことが起こるのか。文部科学省は第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」(2022年1月24日)を立て、学校図書館図書標準の達成を目指すため、図書の整備のために単年度199億円、新聞配備のために単年度38億円を地方財政措置している。しかしながら、これがひも付きの予算ではない地方交付税にて措置されているために、各市町村での予算編成の際に図書購入費ではないところに予算が付け替えられているのである。これにより、学校図書館図書標準を達成している学校は、小学校で71.2%、中学校で61.1%にとどまっている(文部科学省「令和2年度学校図書館の現状に関する調査結果」)。

 上記の計画では、図書費として、小学校では学級数×40.7千円、中学校では学級数×63.1千円で地方交付税が算定されている。試みに、小学校18学級、中学校15学級で試算すると、小学校は1校当たり732,600円、中学校は946,500円となる。実際に措置されている予算額と比較してみると、どれだけの費用が図書ではない予算に付け替えられているかわかる。

 その結果、何が起こっているかというと、PTAが学校図書室の図書購入費用を「寄付」する、保護者から一人当たりいくらで「図書費」を徴収する、ということが行われている。公費で負担すべき費目が、わかりやすく「隠れ教育費」化しているのである。これは、地方財政法上で禁止されている割当的寄附金にあたる可能性が大いにある。支払っている保護者としては、「本来自治体に措置されているはず」なのに「なぜ保護者が(PTAが)負担せねばならない」ということを指摘してもよいだろう。学校としても、安易に私費負担に頼るのではなく、文科省の5か年計画をもとに教育委員会に予算要求していきたいところだ。

※来月のヤナギサワ事務主査のコラムも「図書」がテーマらしいです!こちらも合わせてお読みください。

(チーフアナリスト 福嶋 尚子)

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◼️ 参考ホームページ

熊本市の学校図書費1.6倍に 新年度予算8年ぶり増額 (msn.com)

全国学校図書館協議会|調査・研究|学校図書館整備施策の実施状況 (j-sla.or.jp)

令和2年度「学校図書館の現状に関する調査」の結果について:文部科学省 (mext.go.jp)

第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」に基づき学校図書館の整備を進めましょう (mext.go.jp)

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