連載『こんなモノ あんなコトまで「隠れ教育費」』は、今回が最後になります。
第6回|教材費の私費負担を軽減する試み②
こちらの記事は、第5回|教材費の私費負担を軽減する試み①の続きです。あわせてお読みください。
また最初から読む場合は、こちらからどうぞ
〜以下、書き起こし〜
仮に国や自治体で教材費の公費負担の拡大政策が進んでも、それが私費負担の軽減に結びつくとは限らない。顕微鏡や楽器など古くなった学校備え付け教材の買い替えや、電子黒板やプロジェクターなど新しい教育活動に必要な教材購入に拡大した公費を充てるだけでは、家庭が負担しているこまごまとした教材費は減らないからだ。
学校によっては、学校事務職員を中心に教職員全体で教材の私費負担軽減に取り組んでいる。例えば、3冊購入させていたワークやドリルを吟味して1冊減らす。1人1つ購入させていた実習用のキット教材を、値段が割安なものに変える。私費負担で購入させていた辞書や資料集を、公費で購入し備え付け教材にする。こうしたことを各教科で進めるだけで、1教科200円の減額だとしても、教科全体でいえば2000円近くの減額が可能となる。
しかし、金額の多寡だけを考えず、教職員あるいは保護者の労力負担も考慮する必要がある。備え付け教材にすれば教職員の管理負担が生じる(コロナ禍ではそこに消毒などの新たな負担も加わる)。一方で個人もち教材にすれば購入や管理、名前つけの負担は保護者が負っている。互いの負担を考量し、金額と労力負担、そして最も重要な教育効果の三側面から、より良い教材選択を目指して実践を重ねている学校もある。
保護者もいわれるがまま私費負担をし、PTAから学校にお金や物品を渡すのではなく、なぜその教材が教育上効果的なのか、それを私費負担/PTA負担とするのはなぜか、を問いかけていくと良い。費用負担を求めている以上、学校はその問いに答える責任がある。
数千円、数百円も払うのが苦しい家庭が、そして皆と同じ教材を持ってこれず肩身が狭い思いをする子がいる。「義務教育って無償のはずなのに」「そんなの変だよね」という一言を口に出せる大人が、一人でも増えてほしいと願って、この連載を閉じたい。
(福嶋 尚子)
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