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【第4回】こんなモノ あんなコトまで「隠れ教育費 」|『新婦人しんぶん』2021年1月16日号 

第4回|公的支出が減らされて

 こちらの記事は、第3回|なぜ私費負担が当たり前に?の続きです。あわせてお読みください。

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※事前に許可を得て掲載しています。

〜以下、書き起こし〜


第4回 義務教育の無償原則はどこに?

 1985年、顕微鏡や掛図など学校備え付け教材の購入費用の半額を国負担としていた法律の規定が削除された。教材費の国庫負担金が行政改革の一環で支出削減のターゲットとなり、文部省はこれを維持することができなかった。こうして教材整備のための費用は地方自治体の負担と国からの地方交付税交付金で賄われることになった。地方交付税交付金ということは使途が限定されていないため、地方は何にでも支出可能だ。「教育費」「教材費」として配布されたお金が何に使われたのか、紐がついていないので辿ることはできない。道路整備や老人福祉、医療体制整備など、多くの公共事業の中からどの政策分野を重視するのか、地方自治体の考え方次第だ。

 当然のごとく、この年を境に、教材整備のための地方における公的支出(平均)は減少の一途をたどっていくこととなった。学校備えつけの教材すら買い替えが難しくなり、耐用年数を過ぎた教材や壊れて使えない教材が、理科室や体育倉庫で埃をかぶった。

 公的支出が減ったときに誰がそれを支出するのか――保護者である。こうして、我が子の個人もち教材購入、(違法の可能性があるにもかかわらず)PTAなどを介しての学校備え付け教材費の負担、そして税金も含めれば「三重の負担」を保護者が強いられる構造が固定化してきたのである。

 日本国憲法には「義務教育は、これを無償とする」と謳われている。無償の範囲については諸説あるものの、この憲法理念に従えば、教育活動に必要な教材を無償で提供することが目指されるべきだ。また、必要性が薄いものを一律・強制的に集金したり、購入させたりすることは慎むべきではないか。

 文部科学省は、各学校で行われる教育活動は自ら定めた学習指導要領に拘束されると主張し、学校・教師に学習指導要領に記載された教育活動を実現することを求めてきた。しかし、それに必要な費用負担は地方自治体と保護者に転嫁している。

(福嶋 尚子)

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